Cart

お客様のカートに商品はありません

放牧でのびのびと育った牛から採れる牛乳を届けるために──牧場主・工藤さんのこだわり

放牧の美味しさと情報を届ける体験型パッケージ「GRAZE GATHERING」が始まりました!

GRAZE GATHERINGでは4週に1度、2,280円(+送料)でユートピアアグリカルチャーが育てた新鮮な素材(放牧牛乳800ml,放牧牛乳ヨーグルト800ml,平飼いの卵8個入×2パック)と、地球と動物と人のより良い環境作りを目指す活動の報告、リジェネレイティブアグリカルチャーに関するコンテンツ記事をお届けします。

皆さんにお届けする素材は、極限まで放し飼いに近い環境を目指した鶏舎で採れた、森の卵「EGG WHITE」、放牧でのびのびと育った牛から採れる牛乳「GRAZING MILK」、放牧牛乳100%で作った自然な甘みの飲むヨーグルト「GRAZING YOGURT  DRINK」の3つです。

今回は、お届けする「GRAZING MILK」についてご紹介します。「GRAZING MILK」は、放牧でのびのびと育った牛から採れるグラスフェドミルクです。北海道日高町豊郷という、太平洋沿いに位置し、北海道の中では雪も少なく温暖な地域にある牧場で放牧され、のびのびと育った健康な乳牛から採れる風味豊かな牛乳です。

ノンホモ・低温殺菌乳ですので、殺菌によるエグみを抑え、牛乳本来のコクや甘みをそのままお届けします。

牛乳は季節によって脂肪分などの成分が変化しますが、飼料100%ではなく放牧で青草を食べて育てることでさらに季節による影響が多くなり、夏はあっさりと冬はこっくりとしたその時々の味わいをお楽しみいただけます。季節によって少しずつ変化する味わいを、定期的にお届けするサブスクリプションだからこそ感じていただけるはず。

そんな「GRAZING MILK」の魅力をより深く知っていただくために、牧場主の工藤悟さんに牛の飼育方法について聞きました。

工藤さんは、企業オーナーと牧場経営者が異なる「シェアミルカー制度」という経営体制で、ユートピアアグリカルチャーに参画しています。詳しい背景につきましては、こちらの記事を読んでみてください。

 

季節によって味が変わるのはなぜ?

 

──GRAZE GATHERINGでお届けする牛乳は、夏はあっさり、冬はこっくりとした、季節にあわせた味わいが楽しめますよね。なぜ時期によって味が変化するのでしょうか?

工藤さん:ユートピアアグリカルチャーでつくっているのは、牧草飼育という意味を持つ、「グラスフェッド」と呼ばれる方法で飼育された牛からつくった牛乳です。特に夏は放牧によりたくさん青草を食べるため、ほんのりと草原のような風味が牛乳に残ります。

しかし、冬の北海道は雪が積もるため、放牧はできません。寒くなると牛乳の脂肪分は増える傾向がありますが、エサも乾草を与えるだけでなく、飼料を入れる割合が増えるので、こっくりした濃い味になるんです。

 

──季節ごとにどんなエサを食べるかが、牛乳の味に大きく影響するんですね。

工藤さん:そうなんです。牛の体は一年を通して変化しますから、味わいも変わっていくほうが自然に近いですよね。また、牛乳は65℃の低温で30分かけて殺菌しているため、より青草の風味が残っているはずです。

また、味だけではありません。草に含まれる栄養も牛乳に反映されます。放牧牛乳は一般的な牛乳と比べて、ビタミンやカロテン、生活習慣病の予防効果がある共役リノール酸などがたくさん含まれているそうです

 

──どんな食べ方・飲み方だと美味しく召し上がれますか?

工藤さん:お菓子などの素材に使っても、シチューにしても美味しく食べれます。もちろん、そのまま飲んでも美味しいですよ。特に、お菓子を食べながら飲む牛乳は格別ですね。

 

のびのびと牛が育つ放牧

 

──季節の影響で味が変わるのは、大自然で育てている牛ならではの特徴ですよね。牧場には広大な牧草地があると思いますが、普段はどのように牛を放牧をしているのでしょうか?

工藤さん:32ヘクタール(東京ドーム7個くらい)の牧草地で、約70頭の牛を飼っています。特に夏場は、夜まで含めて一日中放し飼いにしてます。

牛の頭数と食べる量から考えると、これでもやや広さは足りないのですが、柵でいくつも区切りをつくって「今日はここの草を食べさせる」「明日はここに放牧させる」と、牛を少しずつ移動させながら放牧しています。

たしかに、畜舎で牛を飼育するのは効率的です。でもやっぱり、放牧中は牛らしく、のびのびと生きている感じがするんですよね。牧場にある程度の広さがあれば、工夫すれば放牧はできますし、牛が喜んでくれると私まで嬉しくなります。

──放牧で牛を育てるコツはなんですか?

工藤さん:いろいろ工夫はありますが、牛の管理だけでなく「いい草を育てること」を大切にしています。さらに言えば、「土づくり」ですね。土が良ければ、いい草が育つからです。

いい草を食べた牛は健康になります。ビタミン豊富、栄養素たっぷりですから。私たち牧場主は、できるだけいい草を育てて工夫して食べさせる。すると、輸入飼料を買って食べさせなくても、牛がすくすく育ってくれるんです。

 

──いま、原油価格の高騰や円安、戦争など、さまざまな要因から輸入飼料が値上がりしていますよね。自分たちが育てた草を牛に食べさせる、いわば「エサの地産地消」は、いまこそ注目を集めているのではないでしょうか?

工藤さん:おっしゃる通りです。ただし、海外からエサを買わないメリットは、お金の負担が減ることだけではありません。地球にとっても優しいんです。

例えば、牛に食べさせる輸入飼料のトウモロコシは、海外で大量生産されています。その地域では、たくさん肥料を使って土が痩せたり、水不足になったりしている。私たちは、輸入飼料を買うことで豊かさを奪っているとも言えるわけです。

自分たちの地域で土をつくり、いい草を育てられれば、地球環境への負担をできるだけ抑えながら牛を育てられるんです。

 

土から草、そして牛へ豊かさが循環する

 

──工藤さんは牧場主として、土や草のことまで考えながら牛を育てているんですね。

工藤さん:そうですね。でも、やっていることは全部繋がっているんですよ。

土が豊かになると、草も豊かになる。そして、草を食べた牛が元気になる。健康な牛からはいい牛乳が採れて、最後に人間が豊かになる。ここまでがひとつの循環です。

 

──とても面白いです。ようやく全体像が見えた気がします。良い土をつくるためには、具体的にどんな工夫をしているのでしょうか?

工藤さん:地域内で栄養がどのように循環するか、きちんと意識しながら牛の世話をしています。

夏場は牛を放牧するので、人間がエサを与えなくても牛は自分で動き、青草を食べて栄養を摂ってくれます。また、牧場のあちこちでウンチやオシッコをしてくれる。この排泄物が、牧草地の土を豊かにする栄養素になるんです。*

一方で、冬場は放牧ができず、牛は畜舎で排泄物を出します。私たちはそれをいい堆肥にして、夏に良い草が生えるよう牧草地の土にまた撒布してあげる。こうした循環をきっちり意識しながら、酪農に取り組んでいます。

 

──最後に、消費者の皆さまに伝えたいことや、牛乳に込めた想いはありますか?

工藤さん:放牧を通して、土から草、そして牛から人間へと豊かさのバトンが繋がっていく。「GRAZING MILK」が手元に届いた人たちには、牛乳を飲みながら、このストーリーもぜひ一緒に味わってくれると嬉しいですね。

 

*ユートピアアグリカルチャーでは、牛の糞尿が過剰に広がることで、土壌汚染が起こるリスクにも配慮しています。詳しくはこちらの記事で解説します。