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TEACHING EVERY CHILD ABOUT FOOD 「食と環境」の未来を知るために、いま学びたいこと

    人にも動物にも地球にも優しいリジェネレイティブな未来を実現するために、食にまつわる教育をどのようにアップデートすべきでしょうか? ユートピアアグリカルチャーと長年共同研究に取り組んできた北海道大学准教授の内田義崇さん、ワイルド・サイエンティストの片野晃輔さんと、環境再生に寄与する農業や食のあり方を起点とした「食育のカリキュラム」を考えてみました! 

    本記事は、ユートピアアグリカルチャーが提供する、美味しさと情報を届ける定期便「GRAZE GATHERING」に同封される冊子「GG MAGAZINE」からの転載になります。

     

    2022年5月から開始した「GRAZE GATHERING」はリジェネレイティブな放牧の可能性を伝え、共に考えていく取り組みです。4週に1度、2,280円(+送料)でユートピアアグリカルチャーが育てた新鮮な素材(放牧牛乳800ml,放牧牛乳ヨーグルト800ml,平飼いの卵8個入×2パック)と、地球と動物と人のより良い環境作りを目指す活動の報告、リジェネレイティブアグリカルチャーに関するコンテンツ記事をお届けします。

     

    ▷GRAZE GATHERINGの詳細・お申し込みはこちらから

    https://www.utopiaagriculture.com/products/graze-gathering/

    1限目:「生活」と「地球環境」のつながりを知る

    気候変動や食糧危機の進行、畜産がもたらす炭素量の増加……そう言われてもいまいちピンとこない。そんなときはまず「生活」と「地球環境」のつながりを理解するところから始めましょう。

    例えば、人々が地球で安全に活動できる範囲を科学的に定義し、その限界点を表した「プラネタリーバウンダリー」や、商品・サービスの原材料調達から廃棄・リサイクルに至るまでの間に排出される炭素量を示した「カーボンフットプリント」などのキーワードについて調べる。

    ほかにも、日頃食べている食材がどのようなプロセスを経て、どれほどの環境負荷をかけながら、食卓に運ばれているかを知る。地球環境の保全だけでなく、回復を目指す畜産・農業である「リジェネレイティブアグリカルチャー」の可能性に触れるなど、まずは全体システムを考えることが求められるはずです。

    そんな最初の一歩を踏み出すために、まずは身近な疑問からスタートしてみるのがいいでしょう。「この商品はどのような経路で手元に届いたのだろう?」「飛行機に乗って移動することでどれくらいの環境負荷になるのだろう?」1限目では、日々の気付きや疑問をきっかけに、環境について考えてみましょう!

     

    2限目:地域の食文化や風土を学び「生態系を眼差す」力を養う

    私たちの食卓は豊かな生態系によって支えられています。タケノコやわらびといった山菜や農家で育てられた野菜、牧場で暮らす牛や鶏までが、生態系の循環の中に存在しています。

    そんな食卓と生態系とのつながりを実感し、生態系との関わりしろを知るべく、2限目では「生態系を見る目を養う」ことにチャレンジ! 自分の身近なところから考えるを巡らせるべく、まずは地元の食文化や民族誌について学んでみましょう。例えば、地域の特産品の歴史を学ぶ。地元の街路樹の根の張り方を知る。道端に生える雑草の名前と特徴を知るといったアクションが考えられます。

    「スーパーに並んでいる食材が今までとは違った見え方をするようになった。」「普段は気にも留めていなかった草花が目に入るようになり、地元の道を歩くのが楽しくなった」など、2限目が終わる頃には地域の食文化や風土を理解したうえで生態系と向き合えるはずです。

     

    給食:「サードプレート」を食べてみる

    地域の食文化や生態系を学んだのなら、次は実践を。「サードプレート」を踏まえた給食を振る舞います。人々の好みに沿った作物ではなく、生態系を豊かにする作物の生産を目指すサードプレートは、食の選択や消費を通じて生態系の回復を目指す取り組み。その視点から組まれた献立を食べることで、「食卓の裏にある生態系の存在」を体感します。

     

    3限目:実習!手を動かして学ぶ「リジェネレイティブなアプローチ」

    座学の次は「実習」を。環境再生に寄与する農法──食糧生産と生物多様性の両立を実現する「協生農法」や、農業や畜産を通じて土壌の活性化と栄養素の循環を目指す「リジェネレイティブアグリカルチャー」について、手を動かすことで学んでいきます。

    実践にあたって参考になるのは、ソニーコンピュータサイエンス研究所による「協生農法実践マニュアル」や、IDEOとエレンマッカーサー財団による「Regenerative Thinking」といったツールキットです。専門知識がなくともリジェネレイティブな実践を可能にする手引き書としておすすめ。

    大切なのは、マニュアルに書かれた手順やノウハウに頼り切りにならないこと。概要を学んだ後は、まずは手を動かして、上手くいかないことがあればマニュアルを参照する。試行錯誤のプロセスのなかで、環境再生に寄与する農法がいかなるものか、を身をもって学べるはずです。

     

    4限目:地球に優しい食を選択する力を身につける

    給食や実習を踏まえて、明日から使える知識を身につける4限目。ここでは、健康だけでなく、地球環境に配慮した食の選択をするためのアプローチを学んでいきます。

    身につけたい視点は大きく3つ。1つは食品やサプリメントが健康や病気に与える影響を過大評価するフードファディズムに陥らないこと。次に地球環境に配慮した食に関するさまざまな認証制度を知ること。Plant Based Foods Associationによる植物由来の食品に関する認証制度やアップサイクルフード協会によるアップサイクルされた食材の認証制度などは外せません。最後に生産地から食卓に並ぶまでの輸送にかかったコストを把握する「フードマイレージ」といった食と環境負荷に関する指標を知ることです。

    食情報の読み解き方を知ることで、地球から自身の健康までを守るすべを身につけましょう。

     

    課外授業:リジェネレイティブな農業現場に行ってみる!

    課外授業では環境再生に寄与する農業現場に行ってみましょう。豊かな土壌が広がり、生物多様性が高いランドスケープを眺めたり、栽培・収穫のプロセスを体験してみることで、生態系への介入の仕方を実感できるはずです。

    ユートピアアグリカルチャーの運営する盤渓農場もそんな農業現場の1つ。ぜひ足を運んでみてください。

     

    宿題:家族で話してみる

    食と環境の未来について体系的な知識を身につけた後は、学んだことを家族で語り合ってみましょう。農林水産省も「家族で食卓を囲むことは食育の原点である」と提言しており、身近な人とのコミュニケーションが、相互の「食のリテラシー」を育むはずです。