【UA×北大共同研究コラム :私たちが美味しいお菓子を食べ続けるには?】 VOL.11 多様化するフードセキュリティーとは?
こんにちは。前回は、国際的なネットワークによる環境基準ついてお話しました。今回は多様化するフードセキュリティ―ついてご紹介したいと思います。
そもそも「フードセキュリティ―」とは?
フードセキュリティ―とは直訳すると「食料安全」「食料安全保障」といいかえられますが、国連食糧農業機関(FAO)により、
「全ての人が、いかなる時にも、活動的で健康的な生活に必要な食生活上のニーズと嗜好を満たすために、十分で安全かつ栄養ある食料を、物理的、社会的及び経済的にも入手可能であるときに達成される状況。」
と定義されています。
大きな構成要素が4つあり(図)、私たちの生活に関連する様々な要素が食料安全保障に欠かせないことがわかります。
このように、消費者が食生活で求めるものは、食品の基本的な安全性やエネルギーの摂取以外に、十分な量の食料が確保され、それが年中安定して入手できることなど、多様な意義を持っているのです。
では、今後私たちがフードセキュリティを達成するためにはどのようなことに取り組んでいくべきでしょうか。
トレーサビリティ
トレーサビリティとは、食品が手元に届くまでに「どこで」「誰が」「どのような方法」で栽培、加工、流通しているのか、食品の移動を把握するための仕組みです。
食品の安全性と品質に関して国際的な基準を定めているコーデックス委員会により定義されており、アレルギー物質の表示やロットナンバーの管理といった方法で食品を取り扱った際の記録を保存しておきます。
徹底したトレーサビリティ―の管理を行うことで、どこで何ができて、どの程度の量が保管されているのかが分かるようになるため、適切な在庫管理にも役立てることができます。コロナ禍で「食品ロス」という言葉をよく聞くようになりましたが、トレーサビリティは廃棄の削減にも繋がっているのです。
環境に優しい商品
以前の記事( VOL.6 記事参照)でもご紹介したように、私たち消費者も日々の生活で環境に優しい商品を取捨選択することで、環境に配慮した行動を取ることが出来ます。
しかし、「環境にいい商品」とはどこで見分ければ良いのか、基準が少し分かりにくいですよね。そこでいくつか存在する環境配慮型商品を見付けるヒントとなる認証ラベルについてご紹介します。
「有機JAS」マークは、日本のオーガニック食品に付けられるもので、JAS法に基づき農産物、畜産物、加工食品に「有機〇〇」と表示を認める規格です。持続可能な生産方式の基準を規定しており、世界共通のオーガニックルールが元になっているので輸出・輸入の際にも有機認証品として、各国と相互承認をするために使用されています。
「レインフォレストアライアンス認証」は緑色のカエルのマークです。バナナやチョコレートのパッケージで見たことがある方もいるのではないでしょうか。この認証は、森林の減少が生物多様性や気候変動に悪影響を及ぼしている状況を受けてできたものです。商品に使われている原料に対して、社会的・経済的・環境的に持続可能な管理が行われていることを示しています。
また、農業手法だけでなく、農村に暮らす人々の人権や生活基準に関しても審査項目が設定されており、審査対象の作物の生産に関わる部分を徹底的に深堀することで、生産の根源から”人と自然”の持続可能性を評価しています。
SDGsへの意識の高まりとともに、衛生・安全性以上の価値を私たちは食品に求める時代になっています。
野菜、肉、魚、乳製品などの食品が、店頭に並ぶまでの生産過程まで含めて、環境に対しても「安全」な消費に目を向けていくことが今後重要になってくるのではないでしょうか。認証ラベルを活用することにより日々消費する食品を選択するところから、環境にやさしいアクションを起こしてみませんか?
参考
FAO(2006) Food Security, Policy Brief, Issue 2.