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UA×北大共同研究コラム:私たちが美味しいお菓子を食べ続けるには?VOL.2 放牧で牛乳を作る

    こんにちは。前回は私たちの共同研究について簡単に紹介させていただきました。
    今回は、放牧で牛乳を作るうえで重要な「牧草」についてお話したいと思います。

    そもそも放牧酪農って?

    「酪農」と聞いて、どのような風景を想像しますか?

    広大な草地でのんびり過ごす牛たちをイメージする方が多いのではないでしょうか?

    このような一般的な酪農のイメージである、草地で牛を飼うのが「放牧酪農」です。

    ですが、実際に放牧を行っている牧場は酪農全体のわずか10%程度。

    ほとんどの牧場は牛舎の中で「舎飼い」され、トウモロコシや、大豆などの濃厚飼料を食べて牛乳を作っています。

    しかしながら、穀物は人間の食べ物でもあります。食糧不足が危惧されている将来、人間と畜産動物が食糧を取り合うことになってしまいます。

    そもそも牛は草食動物。人間の食べられない草を牛乳に変えてくれる動物です。

    牛本来の生態に近い状態で飼養し、草から牛乳を作る放牧酪農を見直す時ではないでしょうか?

    放牧には牛にも人間にも様々なメリットがあります。

    放牧で牛乳生産するメリット

    1.牛が健康に
    自然の生態に近い草地で日光を浴び、適度に運動することで健康効果が期待できます。

    2.畑を耕さなくてよい
    とうもろこしや大豆など、穀物を育てるためには、畑を耕し、肥料を与え、大きな機械で収穫する必要があります。しかし、放牧では、牛が大地を踏むことで耕され、糞尿が栄養素として土に還り、生えた草を牛が自分で食べてくれます。

    3.コストダウン
    本来牛は、草食動物。栄養価の高い濃厚飼料は牛乳を最大限絞りだすために与えているのです。
    もし、放牧で栄養価の高い牧草をおなかいっぱい食べることができたら、外部から購入した濃厚飼料を与えなくてもおいしい牛乳を作ることができます。

    このように、労働面でも経営面でも様々なメリットがありますが、放牧で牛乳を生産するためには、草地の管理が重要になります。

    牧草を高栄養に保ち、放牧地の草を牛たちに無駄なく食べてもらう必要があるからです。

    そこで、日々の草地やエサの管理をデータ化することで、効率よく質の良い牛乳を作る方法を研究しています。

    栄養価の高い草を作るために

    おいしい牛乳を作るには栄養価の高い牧草づくりが欠かせません。
    どのようなデータを集め、分析しているのか、UAとの昨年度の研究を例にご紹介します。

    下のグラフは、面積あたり、栄養素(窒素)が牧草としてどれくらい収穫されているかを表しています。

    肥料を撒くタイミングや牧草を刈り取るタイミングによって、牧草に吸収される栄養素量は変化します。牧場に持ち込んだ栄養素がきちんと牧草として吸収されているか、このように数値化して確かめます。

    また、上のグラフは、牛一頭が1日に食べているえさの内訳です。季節変動を考慮しながら、高栄養で低コストな放牧での採食・牧場内で生産する自給飼料を増やし、外部からの購入飼料を最低限に抑えるのが理想です。

    これまでの研究で、牧場ごとに環境条件や社会条件が異なるため、1つの最適な牧草管理というものを提案するのは難しい事が分かってきました。

    UAを日高地域の1つのモデル牧場としてデータを継続的に蓄積することによって、牧場内の栄養素の
    流れを把握し、どのようにしたら無駄なく栄養素を循環させられるかを明らかにしていきたいと思います。