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構想7年、リサーチ2年、ここから先は人生をかけて取り組みたい。お菓子屋の私がユートピアアグリカルチャーで放牧牧場経営をする理由。

    はじめまして、ユートピアアグリカルチャー代表の長沼真太郎です。現在、放牧による乳卵製品や製菓事業を通じて、人・動物・地球環境に負荷の少ないビジネスの実現をミッションに日々、奮闘しています。

    長沼真太郎プロフィール

    近年、環境や食糧問題への関心の高まりとともに、食における生活者の価値観は着実に変化しています。フードロス削減、ヴィーガン・ベジタリアン対応や植物由来の代替タンパク質など、選択肢の広がりが常識を更新していくと私自身、日々の生活で実感しています。

    ユートピアアグリカルチャー(以下、UAと記載)では自社の放牧・製菓事業の収益化だけでなく、日本の第一次産業をとりまく課題解決も事業スコープと捉えています。

    ここからは、お菓子の未来にどのような変容をもたらしたいのか、私個人の原体験から遡って伝えさせてください。

    原体験は出来たてのスイーツの感動

    私は北海道・札幌の洋菓子店である「きのとや」の創業家に生まれ、幼少の頃から北海道素材のスイーツを食べて育ちました。なんといっても、工場でできたばかりのフレッシュなケーキの美味しさは格別です。「将来はお菓子に関わる仕事がしたい!」と思う原体験でした。

    2013年に立ち上げたお菓子のスタートアップでは1ブランド1プロダクトのビジネスモデルを強みに、きのとやの支えもあり急成長を遂げることができました。

    おいしいお菓子に乳製品は欠かせません。より良い原材料を使って、よりおいしいお菓子をつくりたい。在籍時より各地の生産者を訪ね、対話を重ねました。なかでも放牧を実践する酪農家の方々との出会いは、今振り返るとターニングポイントになりました。

    私が立ち上げた事業は上場に向けて、株を手放す必要があました。また、組織としての成長はその道のプロに託すべきだと判断し、2017年8月に代表取締役を退任しました。

    在籍時より考えていた、お菓子屋の視点で原材料ひいては酪農を深掘りすること。私は翌年アメリカに渡りました。

    アメリカで掴んだ放牧の可能性

    アメリカで学んだこと

    縁あってスタンフォード大学の客員研究員として1年ほどシリコンバレーに滞在。直接、農業を勉強することはできませんでしたが、日米のスタートアップに詳しい教授の元、シリコンバレーのアグリテックやフードテックの会社と様々な対話をさせていただくことができました。

    彼らの中にはヴィーガンもいて、酪農への風当たりの強さも感じました。温室効果のあるメタンガスが牛のゲップやおならに含まれることや、動物福祉の観点など、いくつかの課題がありました。

    代替肉にフォーカスすれば、本物の肉のような味と食感で、ますますクオリティは上がっています。大豆など植物由来とは気づかないほど。プレイヤーが増えれば価格は下がり、日常で食べる肉や牛乳は代替プロテインに取って代わられるのだろうなとも感じました。

    一方で本物の乳製品でつくったお菓子は、今より一層特別なものになると感じました。普段は代替品を、ハレの日は本物を食べる世界がくるのではないでしょうか。

    渡米中、放牧の新たな可能性も掴みました。2018年頃から話題になった、リジェネレイティブ・アグリカルチャーです。リジェネレイティブは「再生」を意味し、日本では環境再生型農業と呼ばれています。

    アメリカでの砂漠化は深刻な状況です。一説によると、動物が減っていることに起因すると言われています。養分が乏しい土には植物が育たず、動物たちに踏み固められないまま砂漠化が進行していると聞きます。

    動物と共生しながら、地球を回復させること。サスティナブルなだけでなく、リジェネレイティブであること。日本でも地球環境の再生に取り組む企業が少しずつ増えています。

    帰国後は北海道に戻り、ユートピアアグリカルチャーに参画しました。

    ヒントは回復と循環

    ここからは私たちが取り組んでいることと、目指している未来を伝えさせてください。

    私は、放牧が環境危機の有効な解決策の一つになりうると考えています。ユートピアアグリカルチャーのミッションは、放牧による乳卵製品やお菓子の製造販売を通して、人・動物・環境に負荷がなく、持続可能なビジネスを実現することです。

    「なぜ放牧?」と疑問に思った方もいらっしゃるでしょう。牛が自由に歩くと土が踏み固められます。そしてふん尿は肥料成分や有機物が含んでいるため、牧草へ養分を与えるだけでなく、土壌に微生物を増やす力があります。

    たくさんの微生物のおかげで、土壌にメタンガスやCO2などの温室効果ガスを吸収し、隔離することを可能にしています。土壌の再生という側面から見ると、悪いのは牛ではなく育て方だったのです。

    現在80頭が放牧で育てられている。

    実現したいのは、のびのびと牛が育ち、土壌が回復し、おいしいお菓子が生まれる循環。ではどの程度、CO2排出は低減できるのか。これは年単位でのトライアンドエラーになるでしょう。昨年より北海道大学と連携し、放牧の兆しを掴めるよう研究に取り組んでいます。

    北海道大学との研究の一貫で、土や牛のフンの採取をしています。

    UAでつくったお菓子の一部は平飼いで育てている鶏のエサに充てています。お菓子を作るときに出るクッキーのくずやケーキの切れはしは鶏にとって栄養補給になることがわかっています。

    現在5000羽が平飼いで育てられている。

    産業構造を見つめ直し、循環を広げる

    現在UAでは放牧の運営を起点とした循環を構築しながら、放牧をよりよい状態で広げる準備も進めています。ひとつはアグリテック企業への投資、もうひとつはシェアミルカー制度です。

    シェアミルカー制度では、我々が土地の購入と設備投資をし、実際に運営していただく方にはリスクを抑えながら経験を生かしてもらいたいと考えています。放牧を広げる難しさは他にもあります。

    そもそも。なぜ日本で放牧酪農が普及しないのでしょうか。日本は土地がない、土地が高いから?国内には手つかずの土地も多いと聞きます。そして山地が国土の7割を占める日本で、山地活用が酪農のブレイクスルーになると仮説を立てています。

    さらに、投資先であるAgersensという会社で開発しているバーチャルフェンスを組み合わせると、放牧における人側の負荷を軽減できます。決まった時間に牛を指定区域に向かわせるなど、タブレット端末で操作でき、牧区を囲う電柵も不要になります。

    スマートな仕組みに聞こえますが、人間の思い通りにはいかないのが現実です。生き物と共生するのは、並大抵の覚悟では足りません。

    理想への道のりは長く険しいものです。お菓子屋として未来を切り拓く推進力は、UAのビジョンに共感していただけるパートナーの存在です。

    もちろん、美味しいお菓子を楽しみにしてくださるお客様も大切なパートナーとして欠かせません。最後に、ユートピアアグリカルチャー初のスイーツを紹介させてください。

    驚きが詰まったチーズケーキ「チーズワンダー」誕生!

    ユートピアアグリカルチャーから生まれた初のスイーツは「チーズワンダー」。美味しい原材料作りを目指してできた、地球にも牛にも人にも美味しいチーズケーキです。

    ご自宅で食べたいタイミングで一番おいしい状態でお召し上がりいただけるよう、オンライン限定販売です。ご購入はこちらからどうぞ。

    チーズワンダー

    今後もユートピアアグリカルチャーの取り組みにご注目ください。