パッケージ・梱包のこれからを考える
コロナ禍において、ECでの商品購入やフードデリバリーサービスの活用などが日常に定着し、「食品が家に届く体験」はより一般化していきました。
わたしたちの手元に安心・安全に食品が届くためには、パッケージや梱包が重要です。しかし、環境のことを考えたときに、使い終わったパッケージの廃棄という点にも注目しなければなりません。

パッケージのほとんどは生活者の手に届いた段階で、その役目を終えて廃棄されます。日本国内の家庭ゴミのうち、容器包装の割合は容積比で約60%ものを占めており、その輸送や廃棄の過程では環境破壊の原因となる温室効果ガスを排出してしまいます。
いまプラスチック製パッケージの代替品が登場するなど、そうした身近なパッケージにも変化の兆しが訪れています。今回は、パッケージや梱包のあり方から「リジェネラティブな未来」を探っていきます。
「過剰」な梱包って?
まず、食品のパッケージや梱包にはさまざまな役割があります。遮光性、耐熱性、耐寒性などのさまざまな機能によって外部の熱や湿気、菌などから食品の品質を守るとともに、品質期限やアレルゲン表示をするなどの情報を生活者に伝えられるメディアとしての機能ももっています。
小分けに包装されている食品は清潔を保てるだけでなく、消費期限を伸ばし食品ロスを減らすことにも。また、荷物の輸送の際に破損や変形をしないように、適切な梱包によって衝撃から中身を守るという役割もあります。

このように安全性や品質保証の観点から欠かせない梱包ですが、その「過剰さ」は考えなければならないポイントのひとつです。例えば、クッキーなどのお菓子でプラスチック製の個包装で一つひとつが包装されていたり、お土産として渡すものを袋や箱など様々な包材を使って包装したりする風景に見覚えのある方も多いかもしれません。
こうした「過剰さ」の背景には、食品を包むことで相手への礼儀を示す文化であったり、個包装にこだわるような、日本固有の高い衛生観念もあります。しかしながら、農林水産省によると、2016年にゴミとして排出されたプラスチック980万トンのうち40.9%を食品トレイやレジ袋、発砲スチロール等の容器包装・コンテナ類が占めており、食品業界のプラスチック利用割合が高いことが指摘されています。つまり、食品業界が変わることで、環境への大きなインパクトが見込まれるはずです。
プラスチック・パッケージの代替え品とは?
それでは「梱包」を取り巻く課題をどのように解決していけばよいのでしょうか。「代替素材の活用」「容器の再利用」「AIによる最適化」の3つの視点から考えていきたいと思います。
まず、「代替素材の活用」に関しては、海藻、竹、石灰、麦わら、バガス(※さとうきびを圧縮した後に出る搾りかす)、木材などさまざまな代替素材が検討され、製品の開発が進んでいます。
英国ロンドンに拠点を置くNotplaは、海藻を原料にした100%堆肥化可能なパッケージを開発してい る企業です。社名及び製品名のNotplaはNot Plastic(プラスチックではない)を意味する造語。テ イクアウト用の調味料パッケージや、マラソン大 会のランナー用飲料、そしてテイクアウト用容器 なども開発しています。
ほかにも、インドネシアの 企業EVOWARE は、同じく海藻を原料にした代 替パッケージを開発。コーヒーの袋、インスタント 食品の調味料袋、ハンバーガーの包装などに製 品は利用されています。インドネシアの海藻農家 の収益にも貢献しつつ、プラスチック問題の解決 を目指しています。 続いて、「容器の再利用」について。

日本でも 展開しているLoopは、食品や洗剤などの日用 品を、使い捨て容器ではなく耐久性の高い容器 に入れて販売することで、再利用を促すプラット フォーム。使い終わった容器は回収・洗浄し繰り 返し使うことで、循環型の仕組み構築を目指して います。日本国内では、流通・小売パートナーに イオンリテールを迎えています。
AIとデータ活用の可能性
最後に「AI による最適化」の可能性もあります。食品以外の事例ではあるものの、EC大手の Amazonは梱包最適化の取り組みを推進してい ます。アプローチのひとつは、機械学習の活用です。一部の物流拠点にて、商品情報に含まれる商品の寸法(テキストデータ)に加え、実物の商品を複数の角度からカメラで捉え、視覚情報(ビジュアルデータ)を取得するシステムを導入。

それらのデータを組み合わせることで、商品により最適な梱包を選んでいます。また、梱包の簡素化にも取り組んでいます。段ボール製の箱や封筒に代わり、より軽量かつ柔軟で、効率的な紙袋で商品を届ける取り組みを始めました。
実際、最近Amazonから届く荷物が紙袋になっていると感じている読者の方も多いかもしれません。Amazonでは梱包材から使い捨てプラスチックを削減する取り組みも進んでおり、2021年には、Amazon全体で出荷あたりのプラスチック梱包材の平均重量を、7%以上削減したそうです。もちろん、Amazonのような大規模な事業者かつ食品以外も扱う会社だから取り組める事例ではありますが、食品業界にも示唆がある動きです。
環境負荷軽減の試行錯誤
わたしたちユートピアアグリカルチャー(UA) 社も、パッケージについては試行錯誤の最中 です。「CHEESE WONDER」であれば、発送用の箱(段ボール)と製品の箱を同一にすること で、使用する資材の削減に取り組んでいます。

一方で難しい点もあります。例えば、GRAZE GATHERINGの製品である牛乳や飲むヨーグ ルトに関しては、紙パックではなくボトルを使 用しています。紙パックは大型の設備を使い パックの成形や牛乳の充填を行う必要があり ますが、UAでは設備投資ができておらず、さ まざまな選択肢を検討し、現在はリサイクル率 や利便性の観点からボトルを採用しています。
設備投資という観点では、生産量を大規模化 する必要があり、その可能性を模索している。 今回ご紹介した視点や事例のように、食品 そのものだけではなく、その梱包や流通などに ついても考えることが、今後の地球環境を考え るうえで重要になっていくはずです。
UAとして も試行錯誤しながら、人にも地球にも動物にも “ 美味しい” 未来に向けて取り組みを進めてい きます。