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「地域の再生」次なるかたちへ

地球と動物、人に優しい農業を追求するユートピアアグリカルチャー(UA)では、「リジェネレイティブ・アグリカルチャー」と呼ばれる農法を実践しています。「リジェネレイティブ」は英語で「再生」や「改新」を意味する単語。

「持続可能」「サステイナブル」といった言葉が人間の悪影響をゼロにして未来にも地球を維持することを目指すのに対し、「リジェネレイティブ」は人間の活動を通して地球にプラスの影響を与えることを目指します。

例えばUAでは、山間地や平地での放牧酪農をすることによって地上の二酸化炭素を土に閉じ込めるだけでなく、土壌の状態を改善することも行なっています。とはいえ、リジェネレイティブは環境にとってよい効果だけを指すものではありません。地域社会への貢献もそのひとつ。
新しい仕組みやビジネスを通して、その地域に眠っている資源を活用することができれば、人口が減るなかでも地域が持続できるだけでなく、いまよりもよい未来に繋がる可能性があります。

次代のまちづくりビジネス


そうした活動を行なっている企業のひとつが、 「まちづくりベンチャー」として活動するNEW LOCALです。
人口減少などの課題を抱える地域 を対象に、不動産開発を中心としたまちづくりビ ジネスを展開しています。 現在、NEWLOCAL が事業を展開しているの は長野県の野沢温泉村と御代田町、秋田県男鹿 市の3つの地域。

例えば、教育移住者が増えて住 居が不足している御代田では、ファミリー層が快 適に生活できる住宅や環境共生型コミュニティの 開発をおこなっています。

コンセプトは環境共生型住宅。土中環境の改良や地域にある木材の活 用、サステナブルなインフラの活用などを通して、 人と自然が寄り添って生活できるような暮らしの 場を生み出そうとしています。 また野沢温泉では、温泉街の入り口で物置状 態になってしまっていた遊休物件をリノベーションし、ミュージックバーとしてリニューアルしました。

いまは沖縄から移住してきた店長のもと、5人で1年を通して営業しているといいます。「野沢温泉は冬だけやっている飲食店が多いのですが、ミュージックバーは通常営業にこだわり、人通りが少ない時期でも営業をするようにしています。

その結果、地元の人がゲストを呼ぶときに使ったり、野沢温泉でポップアップのイベントを開催したい人が使えたりする場になっています」と、NEWLOCALの創業者である石田遼さんは語ります。「雇用や移住、物件活用、人通り、関係人口などの面で小さいながらも短期間で変化が見え、村の人の意識も少し変わってきているんです」

 

魅力となりうる「ストーリー」と「コンセプト」を


石田さんがNEWLOCALを創業したのは2022年のこと。外資系コンサルティングファームでの仕事やテック企業の起業を経て、地方で出会う経営者たちに魅力を感じたことがきっかけだったといいます。「彼らは人口減少などの厳しい状況でも前を向いて動いていくことで、周りの状況や関わる人々をだんだんポジティブに変えていき、目に見える変化を起こすことで明確にその地域の人の希望を生み出していました。

地域の歴史、自身の家族の歴史などのストーリーを含めた全人格を賭けて勝負をしていながら、義務感はなくキラキラ目を輝かせている人が多かったように感じます」と彼は振り返ります。人、アイデア、資金を集めることによって、スピードやスケール、そして再現性のあるまちづくりをおこなっていくと語るNEWLOCAL。

スピード感を持って変化している地域は目立ち、より多くの人やお金を惹きつけていくことになると石田さんは語ります。「NEWLOCALの強みは、地域のキーパーソンを見つけてビジョンを共有することでチームをつくっていくこと、そしてそのビジョンを実現するためにリソースを集めて具体的な事業を立ち上げていくスピード感です」そのためにNEWLOCALが使っているのが、人のネットワークです。

例えば、スキーで有名な野沢温泉での取り組みは、野沢温泉村観光協会長でプロスキーヤーとしても活躍する河野健児さんとタッグを組んだもの。また、急激な人口減少に直面している男鹿市では、地域のクラフトサケブランド「稲とアガベ」と共同で会社を設立しています。

古い鉄工所をクラフトサケ・ジンの蒸留所やオフィス、イベントスペース、飲食店として活用したり、港湾労働者の宿泊施設だった建物を海沿いのホステルに生まれ変わらせたりといったプロジェクトを通して、お酒と食を基軸に人々が集まる場所をつくる予定です。

NEWLOCAL にとっての地域資源は、自然の景観から食、歴史、住民性まで幅広いもの。 それをひとつの物語に紡いでいくのが同社の 仕事だと石田さんは語ります。「この地域が10年、100年続いていくときの魅力となりうるス トーリーやコンセプトは何かを考えます。

地域全体のストーリーとなりうるような強さ・広がり を持ち、固有性があるもの。地域資源はそのス トーリー・コンセプトの構成要素なのです」 UAでは、北海道札幌市にある「盤渓農場」 で採れた卵を現地の自動販売機で販売し、地 域の方々も足を運んでいただける場として運営を続けてきました。

今後も「リジェネレイティブ」 の観点から地域との新しい関わり方について 模索していければと考えています。