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「アニマルウェルフェア」入門5つの自由から、倫理的な消費まで

私たちユートピアアグリカルチャー(以下、UA)の自社農場では、動物たちがのびのびとした環境で暮らせることを大切にしています。

牛たちが1日の大半を過ごすのは、青々とした草が育つ牧草地。育った牛たちからとれる牛乳は味がよく、季節によって味わいが変化するのが特徴です。また、鶏たちは生息地の植生を参考に植えられた植物が茂る広々とした鶏舎のなかを、太陽の光を浴びながら歩き回り、美味しい卵を生んでいます。

放牧や平飼いの利点は、おいしい牛乳や卵がとれることだけではありません。
ストレスの少ない、健全な環境での飼育は「アニマルウェルフェア」の向上に貢献するのです。


「アニマルウェルフェア」における5つの自由


日本では「動物の福祉」と訳されることの多い アニマルウェルフェア。世界の動物衛生の向上 を目的とする国際獣疫事務局(OIE)は、アニマル ウェルフェアを「動物の生活とその死に関わる環 境と関連する動物の身体的・心的状態」と定義しています。
言葉を変えれば、生まれてから死ぬそ の瞬間までに、どれだけストレスや苦痛を感じて いるか・いないかを指す言葉と言えるでしょう。アニマルウェルフェアの考え方では人間のための動物の利用は否定されませんが、生きている間はで きるかぎり快適な環境を整えることを目指します。

では、動物たちがストレスや苦痛なく過ごせ ているかを、どのようにして把握するのでしょう? OIE のガイドラインでは、「飢え、渇き及び栄養不 良からの自由」「恐怖及び苦悩からの自由」「物 理的及び熱の不快からの自由」「苦痛、傷害及び 疾病からの自由」「通常の行動様式を発現する自 由」の5つの自由がその指針になるとされています。

動物の健康観察はもちろん、例えば、良質な 飼料や水が与えられているかや、動物にとって快 適な環境かどうかなどが判断の基準です。 こうしたことは、一見すると当たり前に思えるかもしれません。

しかし、効率や経済性を優先して 考案された飼育方法のなかには、アニマルウェルフェアを大きく損ねるものもあります。 豚の妊娠ストールや鶏のバタリーケージ飼育もその例です。
妊娠ストールは、妊娠期間中の母豚を個別に入れる柵や檻のことで、日本の養豚場のほとんどで使われています。こうした柵や檻は後ろを振り返れないほど狭く、環境の悪さが問題になってきました。

イギリスやEU、スイスで使用が禁止されているほか、世界最大の食肉加工会社として知られるブラジルのJBSをはじめとする企業による廃止も始まっています。一方のバタリーケージ飼育は、非常に狭い金網に鶏を入れて飼育する方法です。過密状態で鶏本来の行動をとれないことが指摘され、EUを含むいくつかの国が禁止、あるいは段階的廃止を掲げています。
ただし、ケージフリーの養鶏はコストが高く、鶏同士の喧嘩や衛生面でのリスク管理に手間がかかるというデメリットも。そのハードルもあり、日本では現在もほとんどの養鶏場がバタリーケージを使っています。

日本で進まない理由って?


では、日本でアニマルウェルフェアに関する取り組みがなかなか進まない理由はどこにあるので しょう?
動物行動学とアニマルウェルフェアを研 究する東京農工大学農学部の新村毅教授は、政府や企業、そして消費者を含めた日本全体の姿勢にその理由があると話します。

「日本は安さのような短期的なものに限定して投資をし、アニマルウェルフェアや持続可能性といった中長期的に重要なものについては、その重要性を認識しつつも投資をしてきませんでした」 例えば、アニマルウェルフェアに関する取り組みが進んでいるEUでは、数十年前から消費者意 識を高める教育に注力するなど、長期的な投資を してきたことが効果を生んでいると新村教授は語ります。

前述したように、アニマルウェルフェアの向上 には手間とお金がかかります。そしてそれは、必然的に販売価格に反映されることになります。「教育の結果、EUの消費者は高くても福祉的であれば商品を買ってくれます。それゆえ、生産効率が 比較的悪く、価格が高くなりがちなケージフリー の卵も売れていくのです。
また日本とは異なり、 動物や地球への負荷が高い畜産物が高額なのは当たり前という意識もあります」

そうした消費者の意識は、消費行動以外にも現れます。例えば、EUにおいてはアニマルウェルフェアに対する補助金や研究費に莫大な予算が投じられており、企業もアニマルウェルフェアを推進していると新村教授は話します。

「倫理的な消費」を考える


とはいえ、日本でも徐々にアニマルウェルフェ アへの取り組みは進みつつあります。農林水産 省が進めている、アニマルウェルフェアに関す る新たな指針の策定もそのひとつです。

意見交換会でも、あらゆるステークホルダーが集まっ て指針やアニマルウェルフェアの重要性に関す る議論を行っていると、同省が主催する「アニマ ルウェルフェアに関する意見交換会」の委員も務める新村教授は語ります。「遅れているとは言え、行政含め、日本の食に関わるあらゆるステー クホルダーがアニマルウェルフェアを推進しようと、ようやくし始めたのは大きな一歩です」 大小さまざまな企業による取り組みも忘れ てはなりません。

例えば、日本ハムは2021年、 2030年までに国内の全農場で妊娠ストールを 廃止することを発表しました。また、食品販売ス タートアップのHORIZON FARMS は、完全放牧で飼育され、妊娠ストールや成長促進ホルモ ン剤、抗生物質なども使わずに育った肉を使っ た製品のみを販売しています。

アニマルウェルフェアを含めた倫理的な消費 とは、私たちと同じように苦しんだり喜んだりで きる動物たちに想いを馳せられる消費だと新 村教授は話します。「手を合わせて『頂きます』 と言って感謝することは重要なことです。

しかし、感謝するだけでは動物の状態、すなわちアニマルウェルフェアは何も変わっていないのも事実です。倫理的な消費のかたちとは、卵やお肉の向こう側にいる動物の状態に思いを馳せ ることができるような消費なのではないでしょうか。

そしてそれは、今の状態から一歩進むこと ができれば、十分に実現可能ではないかと思います」 UAも、いま生きている牛や鶏たちのアニマルウェルフェアを常に考えながら、これからもよ り倫理的な消費に向けて取り組んでいきます。