農業・食・アートを通じて、感性を刺激する
ユートピアアグリカルチャー(以下、UA)では、環境と動物への負荷に配慮した酪農や養鶏を実践 しています。
牛のふん尿を堆肥にして草木が健康 に育つ土をつくったり、微生物を活用して温室効 果ガスの吸収を増やすことで、農業が時として環 境に与える悪影響を減らす方法を模索しています。これらの取り組みの根幹にあるのは「リジェネレイティブアグリカルチャー(環境再生型農業)」 の考え方。
痩せた土壌を再生し、生態系を回復しながら食料を生産することを目指すこの農法は、 ただ環境への負荷を減らすだけでなく、プラスの影響を与えることを目的として実践してきました。
一方で、こういった「リジェネレイティブ」のアプローチはまだ新しい概念であり、多くの人にとって身近なものではありません。UAが運営する盤 渓農場では、自動販売機を設置して平飼いの卵 を誰もが購入できるようにすることで、「自然を再生しながら共生すること」を身近に感じてもらえるよう取り組んでいます。

ここ日本でも、自然と共生する暮らしや生き方を感じられる場所が少しずつ 増えてきており、なかでも注目を集めている施設 のひとつが、2019年に千葉県内房総にオープン した複合施設「KURKKU FIELDS(クルックフィール ズ)」です。
千葉県木更津市の30ヘクタール(約9万坪)もの 広大な土地に広がるクルックフィールズは、食を テーマに、「サステナブルな暮らし、生き方」を提案 することをコンセプトに掲げています。敷地内に は自由に遊べる広場や畑、養鶏場、酪農場、チーズ工房、ダイニングレストランなどがあり、食、農 業、アートを融合した体験を提供しています。
散りばめられた「循環」の体験
約9万坪の敷地は「食べる」「アート」「農業」「サ ステナビリティ」「遊ぶ&学ぶ&体験」「泊まる」とい う6つのエリアカテゴリーに分かれ、クルックフィー ルズを訪れた人々は、様々な体験を通じて場内の 生態系の循環を目にできます。 「サステナビリティ」エリアでは、施設全体の生態系を支える循環の仕組みが施されています。

施設内は公共の上下水道とは繋がっておらず、「食べる」エリアのダイニングなどで出た排水は、「バイオジオフィルター」へと送られます。ここでは、 小川に多孔質の石が敷かれており、微生物が棲 みやすい環境がつくられています。そこで微生物 が有機物を養分を分解し、さらに植物が根から養 分を吸収することで水を浄化していきます。
浄化された水は、「マザーポンド」に溜まり、太陽光発 電「ソーラファーム」を利用した電動ポンプで敷地 の丘の上まで汲み上げられて、場内の小川に流 され「農業」エリアや敷地全体の豊かな生態系へ 還元されます。さらに、そこから生まれた豊かな 食材はまた「食べる」エリアのダイニングへと提供 されます。

クルックフィールズのサステナビリティ担当者 の吉田和哉さんは、場内での体験についてこう ユートピアアグリカルチャー(以下、UA)では、環 境と動物への負荷に配慮した酪農や養鶏を実践 しています。
牛のふん尿を堆肥にして草木が健康 に育つ土をつくったり、微生物を活用して温室効 果ガスの吸収を増やすことで、農業が時として環境に与える悪影響を減らす方法を模索していま す。これらの取り組みの根幹にあるのは「リジェ ネレイティブアグリカルチャー(環境再生型農業)」 の考え方。
痩せた土壌を再生し、生態系を回復し ながら食料を生産することを目指すこの農法は、 ただ環境への負荷を減らすだけでなく、プラスの 影響を与えることを目的として実践してきました。
一方で、こういった「リジェネレイティブ」のアプローチはまだ新しい概念であり、多くの人にとっ て身近なものではありません。UAが運営する盤 渓農場では、自動販売機を設置して平飼いの卵 を誰もが購入できるようにすることで、「自然を再 生しながら共生すること」を身近に感じてもらえる よう取り組んでいます。
ここ日本でも、自然と共生 する暮らしや生き方を感じられる場所が少しずつ 増えてきており、なかでも注目を集めている施設 のひとつが、2019年に千葉県内房総にオープン した複合施設「KURKKU FIELDS(クルックフィール ズ)」です。 千葉県木更津市の30ヘクタール(約9万坪)もの 広大な土地に広がるクルックフィールズは、食を テーマに、「サステナブルな暮らし、生き方」を提案 することをコンセプトに掲げています。

敷地内に は自由に遊べる広場や畑、養鶏場、酪農場、チー ズ工房、ダイニングレストランなどがあり、食、農 業、アートを融合した体験を提供しています。 散りばめられた「循環」の体験 約9万坪の敷地は「食べる」「アート」「農業」「サ ステナビリティ」「遊ぶ&学ぶ&体験」「泊まる」とい う6つのエリアカテゴリーに分かれ、クルックフィー ルズを訪れた人々は、様々な体験を通じて場内の 生態系の循環を目にできます。

「サステナビリティ」エリアでは、施設全体の生 態系を支える循環の仕組みが施されています。施 設内は公共の上下水道とは繋がっておらず、「食 べる」エリアのダイニングなどで出た排水は、「バイオジオフィルター」へと送られます。
ここでは、小川に多孔質の石が敷かれており、微生物が棲みやすい環境がつくられています。そこで微生物が有機物を養分を分解し、さらに植物が根から養分を吸収することで水を浄化していきます。浄化された水は、「マザーポンド」に溜まり、太陽光発電「ソーラファーム」を利用した電動ポンプで敷地の丘の上まで汲み上げられて、場内の小川に流され「農業」エリアや敷地全体の豊かな生態系へ還元されます。さらに、そこから生まれた豊かな食材はまた「食べる」エリアのダイニングへと提供されます。クルックフィールズのサステナビリティ担当者の吉田和哉さんは、場内での体験についてこう話します。

「場内で発生する畜糞、 排水、生ごみなど、現代の暮らしで は『ネガティブなもの』と捉えられ がちなものを、どうポジティブに作 用させるかを考えました。
エネル ギー、土、水の3つを循環させること で、副産物を堆肥化・資源化し、環 境を再生し、以前よりも豊かな生態 系を育むことができています。そし て、多様な動植物に支えられなが ら、私たちの暮らしを支える循環の 仕組みができています。
全ては『循 環』『サステナビリティ』で繋がっており、それらを 『いのちのてざわり』として感じていただけると嬉しいです」
生きる力を養う
昨年からは、新プロジェクトとして「生きる力を 養う学校」という企画も始まりました。
生きる力を 「暮らしを豊かにするための視点や感性を養うこと」と定義して、卵を産む役割を終えた鶏の解体 を行ったり、場内から採取した粘土を使って陶芸 を行ったり、多様なゲストを招きながら、生き方や 暮らし方の提案をしています。
「環境保全家、農家、料理人がここまで距離感 近く活動している組織は全国でも非常に珍しく、それぞれの専門性と感性が交わった結果生まれるクリエイティヴを楽しんでいただければと思います」
「感動」して、楽しんで。 心地の良い共生
食べて、触れて、見て、そして自然の循環の 一部になって。クルックフィールズを訪れた人々 が五感で知るのは「自然と共に生きる」ことの 心地よさです。
吉田さんはその内容について次 のように語ります。 「ご来場いただいた方には、私たちの取り組 みを通じて未来のために何ができるかを考える 機会をご提供しつつ、今の暮らしを楽しむことに ついてもお伝えしたいです。
サステナビリティ や環境のことを考えるとき、社会一般では『正しさ』や『やるべきこと』の主張がされがちですが、価値観の押し付けや強制に陥ることが多い と思います。それでは価値観や行動の変容が難 しく、サステナブルな社会の実現には繋がりに くいのではないでしょうか?

私たちは食やアー トという表現にも力を入れていますが、それは 食べたものの美味しさや見た景色の美しさなど、 『感動』を通じてサステナブルな暮らしの魅力 や面白さを伝え、お客様自身が能動的に農や 自然とともにある暮らしへシフトしていくことを 選択していただきたいと考えているからです」 クルックフィールズの実践が教えてくれるの は、「自然と共生する暮らし」とは、頭で理解す るよりも、身体で知るものだということ。
五感を 通じた「感動」や、心地よさが、リジェネレイティ ブな暮らしを広く実践し伝えていくヒントになっ ていくかもしれません。